一度は廃れてしまった技法『夾纈(キョウケツ)染め』
『夾纈染め』の歴史は古く、奈良時代以前にまで遡ります。紐などで縛って模様を作る「纐纈(コウケチ)」、蠟などを使って模様を作る「蠟纈(ロウケツ)」と並ぶ三纈染めと呼ばれるものの一つです。夾纈染めは板で挟んで染めることから「板染め」とも呼ばれますが、とても手間がかかるのと、その他の染め技術が誕生したため、平安時代以降にはすっかり廃れ一般にはほとんど見られなくなってしまいました。
自由学園生活工芸研究所では、この忘れさられてしまった技法を現在の生活品に取り入れることはできないかと、1930年代から研究を始め、1937年には夾纈染めの布をパリ万博に出展、賞を受賞しました。今日も変わらぬ技法と技術で、スカーフを中心に一点一点丁ねいに製作をし続けています。
◆布を板で挟む
染める布を丁寧に折りたたみ、板に挟みます。板から出ている部分が染まる場所となります。
◆染め
重なった布の中心部分までしっかりと染まるように低温からゆっくりと染めます。最終的にお湯の温度は60℃~になるので夏場は特につらい作業となります。
◆挟み替え
一色目が染まったところ。一回染めるごとに洗浄し、余分な染料を洗い流します。一枚で3~5回ほど色をかけるので、板に挟む→染める→洗うの工程を何度か繰り返します。最後の色が染まったら生地を広げ、再度洗浄し色留めの作業を行います。
自由学園生活工芸研究所の夾纈染めは、色の重なりの美しさが特徴です。万華鏡のような模様と、ステンドグラスのような透け感、そして程よい厚さでいつもの服装をちょっと贅沢にかえるお手伝いをいたします。
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